第九章 決意を胸に

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現在時刻は午前六時。 まだ起床している人は少ないと見られるこの時間帯に、空の家の前で通行証によって作り出された扉が現れた。 こんな時間なので人目に触れることなく、その扉は外側に開いた。 扉の中からは由真と空、そしてぐったりとしている紗希が出てきた。 「おい紗希っ!!大丈夫か!?」 三人を吐き出した扉は自ずと消え去り、残った空と由真が紗希の元に寄り添う。 「へへへ~…ちょっと無理し過ぎちゃったかな~…?」 今にも倒れそうな紗希は、元気のない笑顔でそう言う。 「紗希…あんた力を使いすぎよ…。あんなの空のジャッジメントクラスの攻撃じゃない…。」 由真も普段とは違い、紗希を本当に心配しているようだった。 「うん…でも~…ああしないと逃げきれなかったから~…。」 紗希は今は二人に支えられているが、今にも倒れそうな程弱っていた。 これは空がジャッジメントを放った後の状態に酷似している。 元来ノアの発源には全体量というものがある。 ノアはその全体量以上の発源を放ってしまうと強制的に眠りについてしまう。 つまり、今の紗希はその一歩手前の状況にあった。 「とにかく、俺のベッドに運ぼう。」 空はそう言ってフラフラの紗希を由真と協力して家の中に入れた。
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