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「あんたってば何でそんなところでシャイなのよっ!?」
由真は呆れたように首を振り、歩みを早めた。
「ちょっと…待ってくれよ…!」
空は歩みを早めた由真に追いつこうと自分も歩みを早めた。
空は由真の隣に追いつくと、ふと由真の顔を覗き込んだ。
由真はいつも通り機嫌の悪そうな顔をしていた。
(いつも通り…?)
空はここで一つの事柄に気がついた。
自分といるときの由真は、いつも心配しているか、不機嫌そうにしているかだった。
もちろん、笑いかけたりすることも少なからずあったが、比率としては断然前者の方に軍配が上がっていた。
(俺といるとつまんないのかな………?)
空は急にそんな不安に駆られてしまった。
歩きながらも考えていたが、答えは見つからず、意を決して本人に聞くべく口を開けた。
「なぁ…由真…。変なこと聞いていいか…?」
「何よ…?」
やはり由真は不機嫌そうな顔をしていた。
その顔を見て、空は更に自らの心の内に存在するネガティブという名の底なし沼にはまっていったが、どうにか次の言葉を吐き出そうと這い出てきた。
「俺と一緒にいると……その…面白くない…かな…?」
時間が止まった気がした。
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