夏の始まり

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オレンジジュースが、冷たすぎたのだ。 広美は、コップを置き、オレンジジュースを冷蔵庫に戻した。冷蔵庫の閉まる音と同時に、広美のお腹の虫が鳴った。台所から、リビングに行った。 「母さん、お腹空いてきた」 「そうねぇ。お昼ご飯何がいい?あっ、そういや素麺残ってるんだったわ。お昼ご飯、素麺でいい?」 広美は頷いた。母が立ち上がると、一緒についていき、 「何か手伝うことない?」と、聞いたのだが、ないと言われ、おとなしく引き下がった。広美は、母の見ていた、健康番組を瞬時に変えて、何か面白いものをやってないかと思っていたが、昼時だから、何もやっていなかった。広美は、入力2にかえて、CS放送の歌番組を見ることにした。広美は、聞こえてくる歌と、素麺を洗っている音と、蝉の音を聞きながら、くつろいでいた。 歌が2曲、終わるころになって素麺が食卓に乗った。 広美の家の素麺は、変わっている。いや、素麺自体は変わってないから、素麺つゆに入れる具が変わっている。ネギ、タマゴ、ハム、キュウリ、シーチキン、ノリを入れる。 もしかすると素麺つゆに具を入れることから、おかしいのか?と思いながら、広美は、蝉の音と歌番組から流れてくる音をBGMに素麺を食べた。
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