日常

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熱したフライパンにベーコンを並べる。程よく焼けてきたら、その上に卵を落としフライパンに蓋をする。ベーコンエッグが出来るその間にスープの粉を入れたカップにポットから湯を注ぐ。 注ぎ終わると男はフライパンの蓋を開け素早く皿にベーコンエッグを乗せ、カタンと音を立て、トースターの近くに置く。 「はい、ベーコンエッグの人~」 取りに来て~と振り返りながらもボールの卵を溶く菜箸の手は止めない。 男の声にゆっくりと席を立ち、細身の少年…に一見見える少女が微かに欠伸を噛み殺しながら近付き、ベーコンエッグの皿とカップをカウンターから取り上げる。 そんな様子に男は顔を顰めて少女を見る。 「飛鳥さん。おはようございます」 そんな視線を誤解したのか少女は男…飛鳥に微笑を向ける。 「暁…また夜更かししたか?」 図星だったのか少女…暁は微かに強張った表情になり、やがて肩を落とし手元のベーコンエッグを見つめ 「すみません…」 反省からか呟く様な声色に飛鳥はやんわりと笑んだ。一瞬手元に視線を戻した後、溶き終わった卵をフライパンに流し込んで暁の頭を撫でる。 「女の子なんだからあんまり夜更かしすんなよ?」 『女の子』と言う単語に暁の顔はたちまち赤くなる。外見上、女の子扱いしてくれるのはこの事務所の連中ぐらいなのだ。 「ありがとう…ございます…」 恥ずかしさからか、また呟く様に言うとカップとベーコンエッグの皿を机に置き、トースターを取りに行く。 可愛らしさに思わず噴き出しそうなのをこらえて、飛鳥は焼きたてのオムレツを皿に乗せ、暁の横の席で突っ伏しているボサボサ頭にむかってスプーンを投げる。 「起きろ、バカ」 起きないので更に二本目、三本目。それらは見事に命中して、カランと音を発てて床に落ちる。
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