0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
春だというのに、今日は雨がザァザァと降り注いでいる
「寒いなぁ~」
私は幼い頃に両親に捨てられ自分の名前も姿さえも知らない…。
私は今、11歳くらいと思われる。
バチャバチャ
「何だろう…?変な声が聞こえる?…」
「アリ…ス撲らの…ァリ…ス」
アリスとは誰の事だろうか?それにしても低い声だ。
その時…
「キャッ!!!」
突然、黒いマントのような物に身を包み顔さえも見えない人が私の前に立っていた。
「キミ…ダレ?ァリ…ス…?」
凄くカタコトで読みとりづらい声
「私は自分の名前が分からないの。」
「ワカラナイ…君ダレカ…ワカ…ラナイノカイ?」
「うん…。」
「ジャア…アリスジャナイ…ネ…アリスワジブンノナマエをシッテいる…」
アリス、アリスって誰なのだろう
「アリスってだぁれ?」
「キミワイエがナイノカイ?」
スルーされてしまった。
「はぃ…ぁりませ…ん…」
「フンフン…撲ワチェシャ猫…」
「チェシャ…猫ッ!!?猫なのに2本足で立って話をしている?の…?!」
「ァアソウダヨ…。キミワウチにおいでョ…」
「えっそんな…いいでスよ」
なんか怖いし…
「ウチにクルンダぁやな…」
「ぁゃな……?」
「ソゥ君ノナマエ…ぁやな」
初めて私に名前がつけられた。あまりに嬉しくて…
「お世話になりますっ」
…と答えた。
この時…私はチェシャ猫様にすくわれた…
最初のコメントを投稿しよう!