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間もなく、ゲーニ人の雄叫びが聞こえてきた。
「帝国を滅亡に追い込んだ大罪人め!」
「祖国の仇!覚悟っ!」
広場にゲーニ人がなだれ込んできた。
その頃リリィとユリアはゲーニ人の巧みな戦術によって袋小路に追いやられてしまった。リリィが叫ぶ。
「ユリア!貴方のエーテル使うわよ!」
リリィは祝詞を唱えるとリリィの手の中に光の球ができて、壁に投げ付けた。爆発と共に壁が崩れ、リリィ達が反対側にでたがすでに、ゲーニ人が回りを囲んでしまっていた。
「ど、どうするの…」
ユリアが不安げに呟いた。
シヴァは結局、ゲーニ人の屍の上に立っていた。ゲーニ人は果敢に迫ってくるが、シヴァが繰り出している闇に触れた途端八つ裂きにされてしまう。たまらずゲーニ人の一人が叫ぶ。
「エルフの女!どうすればいいんだ!」
ネフィアは冷たい目で見返す。
「いいの…?」
ゲーニ人は血走って言った。
「どんなことをしてもいい。奴を、奴を殺せ!」
その瞬間地面から漆黒の刃が出て、生き残ったゲーニ人を貫いた。ネフィアは笑いながら言った。
「仕方ないわね…」
一斉に刃がシヴァへ飛ぶ。が、またしても闇によって退けられた。
「俺を誰だと思ってやがる!ネフィア!」
シヴァは一瞬の隙にネフィアに近づき、ネフィアの喉に剣を突き付けた。さすがにネフィアも驚いたようだった。
「さすが最強の勇者ね。これぐらいじゃ傷一つつけられないわ…」
「俺になんの用だ?魔王族の飼い犬が」
シヴァは問い詰めた。
「いやね…私はメイリン様の命を受けゲーニ国の様子を見に来ただけよ。その帰りにあなたの気を感じて寄ってみたら、なんとエリス王女がいるからびっくりしたわ。」
「今ここでおまえを殺すとメイリンに何されるかわかったもんじゃないしな…」
シヴァは剣を下ろした。ネフィアはシヴァに抱き着いて唇を奪った。
「お帰りなさい…シヴァ」
「ついでにエーテルも盗むな」
シヴァもネフィアの腰に手を置いた。
「じゃ、リリィ達を助けにいくかな…」
二人は歩き出した。その頃リリィとユリアもまたゲーニ人に囲まれていた。
「ユリア!制御の祝詞を唱えて!!」
リリィは言った。
「まだ一回も発動したことないのよ…」
ユリアは怯えていた。シヴァと初めて会った時のゲーニ兵が彼らと被っていたからだ。
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