いざ、マートラ王国へ!

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その瞬間、風が吹くと一面の花畑が枯れ果て、空に枯れた花びらが舞った。ユリアは枯れた花達を見て急に頭が激痛が走った。何かが睨んでいる…灰色の目を輝かせて… 「い…いやあああああああ!!!」 ユリアはたまらず走り出した。クラウゼは後を追うこともなく言った。 「そうよ逃げて…掴まれたら最後、闇に囚われてしまうわ…」 その頃。リリィは眠りについたユリアを介抱していた。シヴァは複雑な心境で見ていた。 「私のせいにしないでね…私はメイリン様のご意志に従っただけ…」 ネフィアは魔王族の親衛隊“デス・クルーザー”の到着と共に去っていった。 リリィとシヴァは少し眠り、朝を迎えた。朝ユリアが目を覚ましたときはリリィは泣きながら喜んだ。教会を出てまた旧帝国街道を突き進んだ。シヴァは考え込んで最初の目的地マートラ湖までほとんど黙っていた。ユリアはあの夢は悪夢だったとして考え込むのを止めた。マートラ王国とゲーニの国境の入国管理所は例によって驚いた管理兵に敬礼されながら国境線を越えた。マートラ王国は元マートラ帝国皇帝の第七王女で皇帝家唯一の生き残りであるクライスが治める王国で、マートラ革命軍に参加したシヴァにとっても因縁の国だった。しかしマートラ王国民達はマートラ帝国の守護勇者であったシヴァをよく理解し、尊敬していた。マートラ王国内に入るとすぐに多くの人々が熱烈に歓迎した。シヴァは複雑な思いで民に手を振った。ユリアはなるべく顔がわからないようにマントのフードを深く被った。そしてマートラ湖の近くの町、タザナに着いた。このマートラ湖一帯は深く樹林が生い茂り、また危険な生物が多く生息している。帝国時もここを危険区域として隔離していた。なぜか?それは七大魔獣の“マートラの大鮫”がいるからである。マートラの大鮫の強大な魔力によって創られたこの木々達はジャングルを形成し、近郊の人々は近づこうとしなかった。近くにマートラ王国軍の基地があるのだが、シヴァが用がある、と言って寄ることになった。シヴァは門兵に話をして、基地内の応接室に通された。 10分後。応接室のドアが開き中年の白髪の男性が姿を現した。シヴァが立ち上がる。 「お久しぶりです、ゲラン将軍。」 白髪の男性、ゲランは笑った。 「そう呼ばれのは久しぶりだよ。今となってはただの老いぼれさ…よくぞ帰ってきてくれたなシヴァ…」
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