飲み屋の姉ちゃん

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最近飲み屋の姉ちゃんと言うと、おっさんと言われます。 キャバ嬢と呼ぶらしいです。 嬢をつけることで少し聞こえを上品にしようったって、そうはいきません。 まさにそう言いたくなるような女性のお話です。 当時警備会社でバイトしていた私は先輩とよく飲みに出ていました。 その飲み屋は警備会社の役職者がよく出入りしている飲み屋でした。 その店で働いていたのが、 仮名『のんた』さんです。 『いらっしゃいませ。はじめてですね。 のんたともうします。』 『あっ。はじめまして。』 『一杯いただいてよろしいですか?』 承諾すると、瓶ビールをグラスに注いで一気飲み! 駆け付け3杯とはよくいいますが、のんたの場合は駆け付け3本でした。 そんな衝撃的な出会いから三年後、のんたさんは自分の店を構えました。 さすがに自分の店ともなると営業活動がハンパではありません。 『もしもし~。今なにしよるん?』 『寝とった。』 『じゃあ、今から来て!』 日本語が通じません。 ふだんは断って電話を切る私もその日は少し違いました。 『明日のんべの誕生日なんよ。明日これそう?』 …無理だな。 『判った。今から行くよ。』 大人数で行く時など、安く飲ましてもらったりと世話になっている手前、あまり無下には断れません。ちなみに『のんべ』さんは、のんたさんの店の女の子です。 『いらっしゃいませ。遅いよ~。のんべちゃん、ビール1ケース追加して。』 来るなり修羅場の予感です。
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