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屋上の扉を閉め、鍵をかける。
下の方からは、入学式の司会者の声が既に鳴り響いていた。
「ちょっと寝過ぎたかな…」
出来るだけ静かに階段を下りて、体育館への道を歩く。
誰もいない道は、静かでいい。
顔を上げると、満開の桜が綺麗に咲いている。
(そういえば、ここに桜があったな)
少し見ていると、体育館の方から、風と共に声が響いてきた。
「おーい、早く入れー」
僕はしばらくその声を無視してから、中へ堂々と入った。
こちらに向けられる視線。
嫌でも目に入る。
元々僕の名は中学1年生から高校3年生まで全校生徒に広まっているらしい。
理由は簡単。
僕は学園史上初、中学3年間生徒会長で居続けたから。
投票で勝てば、誰でも生徒会長になれるのが、鷹岡の特徴の一つ。
ついたあだ名は、
"(鷹岡の)王子(様)"とか。
当然、最初はちらほら呼び出しみたいのを食らったこともあったけど、みんな弱かった。大して強くない。
というか、本気でどうこうするつもりはなかったのだろう。
会長になれなかった悔しさを、とにかく僕にぶつけたかったのだと思う。
とにかく、どうにか切り抜けてきたら、学園でそうやって僕を呼び出すような生徒はいない。
そもそも人気投票だから。
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