001 高瀬 翔の受難

5/13
9553人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
僕が案内された席は、高等部の現生徒会長の隣の席だった。 静かにそこに腰をおろすと共に、隣にいた会長がにこやかに笑ってきた。 「王子、今年もよろしく」 この人は僕より一つ上だが、中等部の頃は副会長として、僕の補佐をずっとやってくれていた人で、名前は 保坂 達也ホサカ タツヤという。 身長は僕よりちょっと高くて178cmくらいあったりする。 ちなみに僕は174くらい。 まぁとにかく、男の僕が言うのもなんだが、いわゆるイケメンってやつだ。 髪はワックスなどでいい感じにいつもセットされていて、少し茶色が入ってるし、顔も綺麗に整っている。 共学にいけば、モテること間違いないだろうに…もったいない。 (まさか、こいつが高等部の生徒会長だったなんて…) 「あっ、今、ありえねぇーって顔したでしょ?」 「いいえ、少し驚いただけです。」 そう言って作り笑いをするのが、僕の学園での基本的なスタイル。 敬語+スマイルで今まで3年間貫いてきた。 基本、誰にも心を許したりはしない。 いつしか、それが普通になってしまった。 ‥……あっ、勘違いしないでね。 別に僕はどこかの後継ぎとかそんなんじゃない。 ごく普通の高校生だ。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!