001 高瀬 翔の受難

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式は殆ど聞いていなかった。というか、寝ていた。 勉強に疲れたのだろう──などと、勝手に周りの人達は考えてくれるから都合がいい。 「王子、起きてください」 暫くして、耳元で保坂が起こそうとそう囁くのが聞こえたが、まだ眠いから無視しよう。 「早く起きないと、襲いますよ」 ───えっ!?襲う? 頭いっちゃったのか?こいつ… いいや、無視だ無視。 「いいんですね?王子」 それより耳元で喋るのを止めてほしい。 何だかゾクゾクする…‥ そう考えていたらいきなり、耳に何か温かい粘り気のあるものが、感じられ、生暖かい風が体にあたった… (……………え!??) 何とも言えない感覚に目を開けて横を見れば、 保坂がぼ、僕の耳を舐めっ……‥!! 「‥……な、何の真似ですか、先輩…」 一気に顔が赤くなるのがわかる。 赤くならない方がおかしい。 「何って、言われても感じた通り、そのままさ。」 そう言って微笑む保坂。 いや、笑われても返す言葉が無いんですけど…‥
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