001 高瀬 翔の受難

8/13

9553人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
色々と考えていると、頭が痛くなる… 元凶の保坂は相変わらずニコニコしながら生徒を見渡してるし、僕はもう考えることを放棄して、寝る体制に入ろうとした。 ───が、その時。 「……よって、高等部では、生徒内恋愛禁止令はありません。」 …………ぇえ?! 僕の寝る気モードを一気に吹っ飛ばしたのは、校長のありえない一言。 それまで何を喋っていたのかは、はっきり言って、ちゃんと聞いてはいなかったが、 翔は、そのフレーズに思わず固まってしまった。 生徒内恋愛禁止令とは、 全寮制男子校ということもあって、増加していた同性カップル禁止令のようなもので、ノーマルの人間にとって、ある程度必要な校則だ。 流石に、オープンに目の前で同性がイチャつくのは勘弁してほしい。 ま、恋愛は自由だと思うけれども。 その校則が高等部ではないときた。 (マ、マジか…‥) 「──尚、生徒会長は中等部同様、投票によって決める。この後分けられたクラスの教室に行ったら各自投票を行うように。」 そう。生徒会長は、投票──言ってみれば、人気投票だ。 その人気投票で、何故か知らないが入学と同時に1位になったのが僕だった。 そのせいで、ことあるごとに"王子"と呼ばれるようになってしまったし、奇跡の3年間連続生徒会長の名をもった。 (高等部では、誰が生徒会長になるんだろうなぁ。) 高等部で生徒内恋愛禁止令が無くなった今、多分、全校生徒はそれぞれ、自分がひそかに思いを寄せる人に投票するだろう。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9553人が本棚に入れています
本棚に追加