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「まぁよく、すんなり出て来るものじゃな」
宛がわれた部屋に向かう廊下で、横を歩くアーリィにエマが言った。
「エマさんには負けますが。あぁでも言わないと、辻褄が合わないでしょう?実は噂は本当で、更に実年齢は100をゆうに越えてる。なんて」
軽く舌を出して答えるアーリィ。
―『レイ』という名前が世襲だと言うのは真っ赤な嘘なのである。
「確かに、エルフの血が流れている。と分かれば、どうなるかは目に見えているからの」
目を閉じて呆れ口調でエマは言った。
この世界のどこかに住まうとされる、高い魔力と知識、人間より遥かに長い寿命を持った、最も神に近い種族『エルフ』
ドラゴンと並び、種族の希少価値が高く魔術研究者達の間では極上の研究材料として取引されている。
「何処かに売られて、果ては試験管の中か見世物小屋か。恐ろしいものよの」
んーと背伸びをしながら言うエマ。
「そうですねぇ」
さして動じず、そう言ったアーリィの瞳はエマの横顔をとらえていた。
自分にエルフの血が流れていると打ち明けたのはいつの事だったか。
そう昔の事ではない。
エマと共に旅をするようになってまだ半年も経っていないのだから。
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