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「納得いかねぇぜ、親父っっ!!」
―バァァンッッッ
蹴破る勢いで開かれた扉。
重厚な作りのそれは細部まで美しい彫りがなされており、また辺りの作りも豪華絢爛である。
まるでこの世にある光という光を集めた様に眩しく部屋全体が輝きを放っていた。
「―なんだ、息子よ」
部屋の奥、背もたれが高く装飾が沢山施された椅子に腰かけていた男が言った。
低く、威厳に溢れ聞く者全てに重圧をかける声はどこか疲れている様だった。
それは今しがた入って来たこの男の『息子』のせいだろう。
「何故、アイツを連れ戻さない?!話は進んでたんじゃないのか?!」
声を張り上げながら、椅子に座っている父親の元へと歩みよる。
傲慢そうな顔つきは父親に似たのだろうか。
髪の色や目の色は違うものの、つり上がった太めの眉や鋭い眼光、やや角張った顔はよく似ていた。
20歳は越えたあたりだろう。鍛え上げられた逞しい肉体は衣服の上からでも見てとれた。
「…連れ戻す程の事でもないと考えているのだろう。気楽なやつだ」
豪快に生えた顎髭を撫でながら、目の前で顔を真っ赤にさせながら怒る息子に言う。
「親子揃って、何考えてるか分からねぇ。あんな奴らにでかい顔されて頭に来ねえのかよ、親父!!」
「そう声を荒げるな」
―ビクッ
まるで獲物を射るかのごとく、鋭く威圧感に満ちた眼光を向けられる。
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