第5話 プロローグ

1/1
949人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ

第5話 プロローグ

―某日 某時刻 ??? 暗い 暗い空間…… ここがどこだか分かる人物は いるのだろうか…… 部屋には 大きなテーブルと 部屋に小さな明かりを灯す キャンドルだけしか見えない。 それほどの暗がりだ。 そんな部屋に 今日は客が来ている。 「何回来ても この部屋は 薄気味わるいな……」 「そう 仰らずに どうぞ……?」 この部屋の主は 訪ねて来た人物を机に座らせ 芳しい薫りを放つティーカップを出した。 「これは……?」 客人が指を指す洒落たカップには 紅茶が注がれていた。 「紅茶は お嫌いですか……?」 「いや 飲むけど……」 「よかった」 部屋の主は 満足げな表情で微笑んだ。 ……と 思う。 暗がりで よく分からないが…… 「それでは 本題に入りましょうか……」 部屋の主は 客人の向かいに座った。 「本当に 大丈夫なんだな?」 「えぇ…… 私の立てた計画は完璧です。 後は 貴方次第ですが……ね」 「はっ 随分な自信だな?」 客人は 紅茶を口へ運び 一口飲んだ。 「当然です。だって私は……」 部屋の主は 不敵に微笑んだ。 「天才犯罪者の息子 なんですから……」 「頼もしいな。 俺も 裏の世界で生きているが……あんたみたいな奴は初めてだよ」 客人は 冗談混じりに言った。 部屋の主も にこやかに微笑んでいた。 「ん? あぁ! もう こんな時間か……」 客人は 腕時計を見た。 そして 紅茶を飲み干し 席を立った。 「そろそろ 行かないとな…… ……紅茶 うまかったぜ」 そう言うと 客人はキャンドルの明かりを頼りに 部屋を出ていった。 取り残された部屋の主は 自分のぶんの紅茶を一口飲んだ。 「さて……名探偵の遺産は 私を楽しませてくれますかね……?」 またしても 部屋の主は 不敵な笑顔を浮かべ 不敵に笑った。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!