名探偵とオシャレな事務所

1/3
949人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ

名探偵とオシャレな事務所

―5月2日(水) ―16:50 探偵事務所(?) 翌日 放課後 おれたちは由美先輩に案内され 探偵事務所らしき建物の前に来た。 「ここ ですか……?」 「そうよ。 趣きがあると思わない?」 確かに 外観は結構シャレた造りになっていて 夕焼けが 白い外壁に映えていて 綺麗だった。 「……ですね」 「でしょ でしょ?」 「早く 中に入ろうぜ」 そう言うと 伊能先生は黒いボストンバッグを扉の傍らに置き インターホンを押した。 「すいませーん。 どなたか いらっしゃいませんか~~?」 何だろう…… 伊能先生がインターホンを押すと 訪問販売員に見えた。 そのまんま サラリーマンだからかな。 「……返事 ありませんね」 「おかしいわね……」 「出かけてるんじゃないの?」 おれは 扉の取っ手に手を伸ばし 回した。 開いてる…… 「開いてますよ?」 「入っちゃおうよ」 「やめなさいっ 敏樹」 彩乃が敏樹の腕を掴み 引き止めるが ここでこうしていても 仕方ない。 「お、おい! 真悟―」 おれは 止める伊能先生を無視し 事務所の中に入った。 「すっげ……」 入ってすぐ おれたちを出迎えたのは 広々としたエントランス。 天井には シャンデリア…… 「わぁー……オシャレ~」 「すっげー 螺旋階段だ!」 敏樹の指差す先には 確かに螺旋階段があった。 二階へは 吹き抜けになっているみたいだ。 「こんな所を事務所にしてるなんて……」 「ようこそ」 その時 螺旋階段を降りてくる人影が 一つあった。 「探偵部のみなさんですね…?」 「あなたは……?」 見た感じ 20代くらいか…… お洒落な眼鏡をかけていて髪を真ん中で分けている。 この人が― 「僕は真田 幸永。 この事務所の所長だよ」 真田さんは 優しい笑顔を浮かべて握手を求めてきた。 おれは 真田さんの手を握った。 「どうも 霧生 真悟です」 おれが名乗ると 一瞬 真田さんの目の色が 変わった気がしたけど……気のせいかな?
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!