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学校が終わり、校門に誠二を待つ茜の姿があった。
「遅いですね……誠二さん」
実はかれこれ三十分は校門の前で、待っているのだが誠二が出てくる気配がない。
茜はもう少し待ってみる事にした。
「しかし、今日は一緒に帰ると約束をしたのに……これってどうなんでしょうね、ミト吉」
茜は虚空を見つめて思い出す。
(あっ、ミト吉はいないんだ……)
肩の上が寂しく感じ、ソッと手を当てる。
ミトが居るのが当たり前だったので、茜は居ない事に違和感を覚えた。
「おや?其処に居るのは茜君じゃないか」
茜が振り返ると其処に、清十郎が立っていた。
「あっ、悪友さん」
「おいおい……そんな呼び方しないでくれよ。所で何してるんだい?」
「誠二さんを待っているんですが……」
「あれ?親友なら授業が終わると直ぐに帰ったが……」
清十郎の言葉に茜の胸がうずく、何かふわふわの物がトゲとなり胸を刺したように痛い。
「親友め……茜君には言って無かったのか?……ん、茜君?」
「悪友さん、どうもご親切に……」
「あ、ああ……」
茜は清十郎に一度、会釈して家路についた。
その時、清十郎は茜を見て固まっていた。
(ヤル気だね……茜君!?)
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