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茜から出ていた気に清十郎は何かを感じたのだろう、蛇に睨まれたように動けなくなっていた。
「太郎!!太郎は居るか!!」
「はい、此処に」
突然、現れた執事服の男は清十郎を抱えて、車まで運ぶ。
彼は京屋家の執事、旭川 太郎である。
「もう少し丁寧に運べ!!」
「自分のペースにならないと固まる癖、治したらどうですか?清十郎様」
固まったのは癖だった……何てつまらないオチか。
所変わって、町外れの丘……
誠二は言われた通りにやって来た。
(誰も居ない……な……)
丘を見渡しても人が居るどころか、小鳥すら見当たらない。
だが、呼び出した奴はちゃんと其処に居た。
「よくノコノコとやって来たもんじゃな……誠二!!」
「この声……お前、ミトか!?」
「その通りじゃ、ボケェェェェェ!!」
丘にある一本杉の上からミトは飛び降り、誠二に蹴りをかまそうとする。
が、簡単に足を掴まれて制止させられた。
「何やってんだ……お前?」
「ぎゃぁぁぁぁ!!離さんかい、この外道が!!」
ミトの姿はカラスではなく、人の姿をしている。
これがミトの人化だ、黒の着物を着込みカラスの羽根を頭に刺している。
フィギアサイズの少女だ。
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