第一話『弔うべきは我が不幸』

11/25
前へ
/222ページ
次へ
茜から出ていた気に清十郎は何かを感じたのだろう、蛇に睨まれたように動けなくなっていた。 「太郎!!太郎は居るか!!」 「はい、此処に」 突然、現れた執事服の男は清十郎を抱えて、車まで運ぶ。 彼は京屋家の執事、旭川 太郎である。 「もう少し丁寧に運べ!!」 「自分のペースにならないと固まる癖、治したらどうですか?清十郎様」 固まったのは癖だった……何てつまらないオチか。 所変わって、町外れの丘…… 誠二は言われた通りにやって来た。 (誰も居ない……な……) 丘を見渡しても人が居るどころか、小鳥すら見当たらない。 だが、呼び出した奴はちゃんと其処に居た。 「よくノコノコとやって来たもんじゃな……誠二!!」 「この声……お前、ミトか!?」 「その通りじゃ、ボケェェェェェ!!」 丘にある一本杉の上からミトは飛び降り、誠二に蹴りをかまそうとする。 が、簡単に足を掴まれて制止させられた。 「何やってんだ……お前?」 「ぎゃぁぁぁぁ!!離さんかい、この外道が!!」 ミトの姿はカラスではなく、人の姿をしている。 これがミトの人化だ、黒の着物を着込みカラスの羽根を頭に刺している。 フィギアサイズの少女だ。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1677人が本棚に入れています
本棚に追加