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「げっ、もうそんな時間!?」
誠二は慌てて口を濯ぎ、歯ブラシを置いて玄関に向かう。
チャイムが何回も鳴る……と言うか鳴らしすぎだろッ!!
リビングに置いていた鞄を急いで手に取り、玄関を開けた。
「ごめん!!少し待った!?」
「少しじゃないです、二分十五秒も待ちました」
「なんか……ごめん」
誠二は茜に謝る。
これが、もう一人の主人公……魅塚 茜である。
茜と言う名だが、別に赤くは無い……むしろ、黒い。
綺麗な長い黒髪で、頭の上でピンッと跳ねた毛がチャームポイント。
服も黒く主にパンク系の服を好んで着ている、因みにランドセルは赤。
数ヶ月で解ったのはこんな所、そんな小学五年生の茜が僕の――
――婚約者である。
「ところで正確に計ってたの?さっきの時間」
「いえ、私なりの冗談です」
「あっ……そうなんだ」
そんなたわいもない会話をしながら、いつものように学校に向かう。
誠二達の通う学校は同じ場所にある、南町高校附属小学校。
其処に茜が、高校に誠二が通っている。
だから昼食も一緒に食べている、そして帰りも一緒。
だから茜が誠二の隣にいるのは、当たり前になっていた。
がしかし、それを良く思わない奴が一名。
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