第一話『弔うべきは我が不幸』

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「げっ、もうそんな時間!?」 誠二は慌てて口を濯ぎ、歯ブラシを置いて玄関に向かう。 チャイムが何回も鳴る……と言うか鳴らしすぎだろッ!! リビングに置いていた鞄を急いで手に取り、玄関を開けた。 「ごめん!!少し待った!?」 「少しじゃないです、二分十五秒も待ちました」 「なんか……ごめん」 誠二は茜に謝る。 これが、もう一人の主人公……魅塚 茜である。 茜と言う名だが、別に赤くは無い……むしろ、黒い。 綺麗な長い黒髪で、頭の上でピンッと跳ねた毛がチャームポイント。 服も黒く主にパンク系の服を好んで着ている、因みにランドセルは赤。 数ヶ月で解ったのはこんな所、そんな小学五年生の茜が僕の―― ――婚約者である。 「ところで正確に計ってたの?さっきの時間」 「いえ、私なりの冗談です」 「あっ……そうなんだ」 そんなたわいもない会話をしながら、いつものように学校に向かう。 誠二達の通う学校は同じ場所にある、南町高校附属小学校。 其処に茜が、高校に誠二が通っている。 だから昼食も一緒に食べている、そして帰りも一緒。 だから茜が誠二の隣にいるのは、当たり前になっていた。 がしかし、それを良く思わない奴が一名。
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