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「何故、私の手を引くんですか?」
誠二は茜の手を握り、歩くスピードを早めて出来るだけ早くその場を、離れようとした。
「いや~、時間が時間だし遅刻するかも」
「全然、大丈夫ですけど?」
「あ、あれ?本当だ……ア、アハッ、アハハハッ」
「まぁ、良いですけど……」
茜はいつもの無表情のまま引かれるがままに、誠二についていく。
その誠二はと言うと、この場を離れようと必死であった。
(おのれ~……!姉御と手なんか繋ぎやがって……!羨まし…じゃなくて、恨めしい!!)
後ろから見ればそう見えるのか、ミトの負の力は増幅されていく。
「姉御も嬉しそうにしてるし―――っ!!」
二人が見えなくなって、ミトは頭を抱えて空に叫んだ。
しかし、茜の表情は変わらず無表情だったのに、ミトにはそう見えたようだ。
そんなミトが怒り狂い、電柱に八当たりしていると、影がミトを包んだ。
「あん?誰じゃ、お前?」
ミトの側からでは良く顔が見えないが、影の主はゆっくりと移動して顔を見せた。
「あ、アンタは!?」
ミトは見た瞬間、驚愕するが話を聞いた後ミトの表情は一変して、笑顔に変わる。
それも、悪どい笑みに……変わった。
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