第一話『弔うべきは我が不幸』

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「何故、私の手を引くんですか?」 誠二は茜の手を握り、歩くスピードを早めて出来るだけ早くその場を、離れようとした。 「いや~、時間が時間だし遅刻するかも」 「全然、大丈夫ですけど?」 「あ、あれ?本当だ……ア、アハッ、アハハハッ」 「まぁ、良いですけど……」 茜はいつもの無表情のまま引かれるがままに、誠二についていく。 その誠二はと言うと、この場を離れようと必死であった。 (おのれ~……!姉御と手なんか繋ぎやがって……!羨まし…じゃなくて、恨めしい!!) 後ろから見ればそう見えるのか、ミトの負の力は増幅されていく。 「姉御も嬉しそうにしてるし―――っ!!」 二人が見えなくなって、ミトは頭を抱えて空に叫んだ。 しかし、茜の表情は変わらず無表情だったのに、ミトにはそう見えたようだ。 そんなミトが怒り狂い、電柱に八当たりしていると、影がミトを包んだ。 「あん?誰じゃ、お前?」 ミトの側からでは良く顔が見えないが、影の主はゆっくりと移動して顔を見せた。 「あ、アンタは!?」 ミトは見た瞬間、驚愕するが話を聞いた後ミトの表情は一変して、笑顔に変わる。 それも、悪どい笑みに……変わった。
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