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世界
彼は孤児だった。
生まれてすぐにある教会の前に捨てられた。
雪の降る、寒い冬の朝だった。
しかし、神父に発見された時の彼は泣き叫ぶ事もなく、ただスヤスヤと寝息をたてているだけだった。
その燃え盛るように紅い髪と両の眼(まなこ)が、凍てつく冷気を寄せ付けないかの如く。
毛布に包まれた彼の胸元には一枚のメモがあった。
「どうかこの子に神の御加護を。この子の名は…」
それから10年―――
赤ん坊は少年へと成長していた。
勉強嫌いだが活発で、歳の割に背が高くバスケが大好きな普通の少年に。
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