世界

2/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
少年には他にも好きなモノがあった。   クリスマスと誕生日の月にだけ食べられるケーキ、ずっと使っているボロボロのバスケットボール、そして父のように慕う神父と姉のような存在のとある少女。   教会の他の仲間も大切だったが、その二人は特別だった。 神父はいつも優しく皆を導き、町の人々からの人望も厚かった。 少女は孤児達の中で一番の年長者で歳の頃は12・3。 孤児故に正確な年齢はわからなかったが、便宜上は13歳とされていた。 白い肌に美しい金髪、エメラルドのような碧眼がよく映える。利発な少女は少年だけでなく孤児達皆の姉であり、母だった。       少年はいつしか少女に淡い恋心を抱くようになっていた。 しかしそれは秘めた恋。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!