プロローグ

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俺の名前は『白山 健』 昔からケンちゃんと呼ばれていた。 まぁ本名から変わって無いので違和感は無い。 ここは北海道の差分(さわけ)町、小さな町だ。 六歳の頃まで住んでいた。 先日まで本州に住んでいたが、父親がここの土地にある自動車工場の所長に就任したので、家族全員が差分町に帰って来た。 十年ぶりに… 「ねぇ!お兄ちゃん! 私の大切な物をしまったダンボールを見なかった?」 妹の美樹だ。 三歳下で今度中学生になる。 引っ越しの片付け中なのだろう。 「いや…知らないよ。 この部屋には俺用に詰めたダンボールしか無いし。」 おっかしぃなぁ…… と言いつつ下に降りて行く。 俺と美樹の部屋は二階にある。 そして俺の部屋には未開封の段ボールが山積みされている。 自分の事は自分でしなさい!と言う母さんの言葉通り、自分の部屋だけでも片付けしないと…… いや…せめて、ベッドは何とかしよう。 でないと、今夜は床で寝るはめになるから。
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