真相〈1〉

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〔2〕 午前2時半をまわった頃、一度は消された暖炉に再び炎が灯された。 談話室には再びペンションの招待客や従業員の面々が揃い、隅で横井川がそれを見つめている。 ピリピリと張り詰めた空気の中、竜彦は切り出した。 「ようやく事件が終わって、早く島を離れたいのも山々ですけど……皆さんにはもう少し辛抱してもらいます」 「どういうつもりだ、二見くん……。ここにはもう用はないんだろ?」 詰め寄るような口調で楠伊が語りかける。 「まぁまぁ……。もちろん、ここに戻ってきたのには理由があります」 それから竜彦は一呼吸置いてから言った。 「……事件の真相を明らかにするためです」 「ちょっと待って下さいよ……!! “事件の真相”って……二見さんも見たでしょ? 覇斎さんのあの姿を!!」 鈴道がいつになく強い口調で言い寄る。 他の者たちも同様、当惑した様子だ。 まぁ、それも無理ないか。 「確かに、覇斎さんは全てを告白してこの世を去った……。でも、所詮は『死人に口無し』。覇斎さんが実際に犯人だったという証拠はない」 「じゃあ……」 「あぁ、覇斎さんもこの事件のれっきとした被害者……。真犯人によって殺されたんだ」 その瞬間、誰もが息を飲んだ。 まるで推理小説のようなことが実際に起こっているのだ。 鈴道は自分の耳を疑うようにつぶやいた。 「で、でも、“真犯人”だなんて……まさかそんな…」 「でも確かに“真犯人”は存在する。冷酷で、とてもここがキレる奴がね……」 竜彦はそう言って自分のこめかみを小突いてみせた。
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