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〔3〕
「で、でも!!」
鈴道が反論にでる。
「この中に犯人がいるってのなら、どうやったら覇斎さんを殺害することが出来るんですか!?」
その言葉に一同がうなずく。
「確かに、あの時俺達全員にアリバイがあった……」
竜彦は静かに切り出した。
「でも、犯人が直接手をかけずとも、覇斎さんを殺す事は可能なんです」
「そんなバカな!!」
楠伊は吐き捨てた。
「彼は正にあの時、死んだんだ!! それは検死をした私が保証する」
「その通り、覇斎さんはあの爆発音が鳴った時に死にました。それは間違いない……。でも、本当に彼に死ぬつもりはあったんでしょうか?」
「……?」
「覇斎さんは最初から死ぬつもりなんかなかった……いや、逆に“誰かを殺すつもりだった”んじゃないでしょうか」
「え……!?」
竜彦は今一度思い返してみた。
覇斎が死んでいたあの場所……
彼が自殺に使った猟銃……
そして、あの遺書……
それらが指し示す事実はただひとつ。
「“誰かを殺すつもりだった”って、どういうことなんだ!?」
楠伊は目を丸くさせながら言い放った。
「これも全ては真犯人が仕組んだ罠……。その筋書きはこうです。犯人は覇斎さんに事前にある事を吹き込んでおく……。そして、彼にある人物に対して殺意を抱くよう仕向けるんです」
「“ある人物”……?」
「えぇ……。そして、覇斎さんの手元に偶然、猟銃が転がり込んでくる。これが大きなポイントです」
竜彦は自分が辿り着いた結論を一気に畳み掛けた。
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