4118人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、もし君がこの島に来てなかったら、私があの時襲われていたというわけか!?」
「おそらくそうでしょう」
楠伊は恐ろしい事実を知ってしまったというふうに目を見張って身震いした。
「そして、ふたつめの理由……これが最大の理由なんですが、自分の完璧なアリバイを俺に証明させたうえで、麻倉さんを殺害することにあったんだ」
「竜彦にアリバイを証明させる……?」
脇から顔に“?”を浮かべた蓮が尋ねる。
「あぁ…。つまり、俺はまんまと犯人の片棒を担がされてたってわけさ。俺も最初は鈴道さん……あんたが犯人だなんて考えちゃいなかった」
すると、それを聞いていた当の鈴道は、釣針にまんまとかかった魚を見て喜ぶ釣人のように、鼻で笑った。
「すると何ですか? “やっぱり私があの時二見さんを背後から襲った犯人だった”とでも言うんですか……?」
鈴道のこの発言は竜彦に笑いをもたらしたが、竜彦はなんとかそれを外に出さないように押し殺した。
「いえ、そうは言ってません」
「フンッ……なら私に共犯者がいたとでも?」
しかし鈴道が冗談混じりに言ったその言葉を、竜彦は見逃さなかった。
ほくそ笑みながら、ゆっくりと鈴道を指差す。
「そうです……まさしくそうなんです!!」
鈴道はまだ動揺したりせず、はっきりとした口調で反論にでた。
「私に“共犯者”!? 二見さん……考えたらわかるでしょう!? あの時、私以外は誰も灯台に入らなかった!! ましてや、裏にあった隠し通路は誰も使っていなかったと、あなた自身がたった今証明したんですよ!? それなのに“共犯者”だなんて……」
最初のコメントを投稿しよう!