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竜彦は自分の代わりに昨日の夜の灯台での状況を説明してくれた鈴道に少しばかり感謝した。
「そう……あの時、灯台は言わば“密室状態”にあった」
しかし、施錠のされていない“密室”というのもおかしなものだな……。
竜彦はちらっと思った。
「蓮!!」
いきなり名前を呼ばれた蓮は思わず「ハイッ!!」と返事した。
「昨日の夜、灯台に最初入っていったのは鈴道さんだけだよな?」
「う、うん……。入口が見える所にいたんだけど、他に誰も入らなかったよ」
その証言に竜彦は満足げにうなずいた。
「ここで皆さんに考えて欲しい……。蓮の今の言葉を聞く限り、果たしてあの時灯台の中に俺と鈴道さん以外の人間がいただろうか……」
他の者は迷ったように互いに顔を見合わす。
「……いなかったんじゃないんですか?」
ためらう様にして竜江がおそるおそる言った。
「その通り、誰もいるわけがなかった」
すると、勝ち誇ったような表情を浮かべて鈴道が一気にまくし立てた。
「そうでしょう、二見さん……共犯者なんているはずがないんですよ!! 何か勘違いしてるんですよ、きっと」
だが、鈴道の言葉は気にもかけず、竜彦は淡々と結論を述べ始めた。
「そう……共犯者なんて見つけられるわけがなかった……」
「当たり前じゃないですか。私が犯人じゃないってことは私が一番知ってるはずなん……」
「なぜなら、その“共犯者”はもう既に死んでいるからね」
「…!!」
鈴道は言葉を止め、表情を凍らせた。
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