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「え……つまりどういうことなの?」
ますます混乱したように蓮が尋ねる。
「結論から言おう……。あの日、灯台で事件は“2回”起こったんだ」
「2回!?」
椅子に手をかけ、大きく息を吐く鈴道。
止んだと思っていた風も再び外で吹き始め、窓ガラスをガタガタと揺らす。
「2回事件が起きたとは一体どういうことなんだ?」
「雨に濡れていなかったことから考えて、あんたは少なくとも夕食以前に麻倉さんと共謀して俺を灯台に拉致し、そこで1回目の事件を起こしたんだ」
「1回目の事件……?」
「あぁ……。気絶した俺の前に、あたかも他の宿泊客たちと一緒に捜しにきたかのように現れ、去って行った後に背後で潜んでいた麻倉さんが再び俺を気絶させる、ってとこだ」
「ふむ……」
納得したように楠伊はうなずいた。
「その直後にあんたは麻倉さんを殺害し、灯光に縛り付けた後何食わぬ顔してペンションに戻った……。そして、雨が降り出した夕食の頃、今度は2回目の事件が起こる」
鈴道は落ち着きのないように体重を片足からもう片方の足に移し替え、時折頬の辺りを引きつらせた。
すぐに反論してこないところを見ると、今のところ竜彦の推理は図星のようだ。
「おそらくラジカセか何かをタイマーを使ってセットして、大音量で悲鳴を流したんだろう。それを合図に、全員が異変に気付く。“麻倉さんはたった今誰かに拉致された”と考えながらね」
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