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「……わかった!!」
癌の特効薬を発見したように突然蓮が叫んだ。
「吊り橋でしょ!! 吊り橋なら15分で済むから……」
「それは無理だ。あの吊り橋の耐久性は大人1人でやっと……。俺達2人が乗ってどうなったか、お前も知ってるだろ?」
それを聞いて、蓮はさも不愉快な様子で低くうなった。
「何か乗り物に乗せて行ったとかは……?」
峰が提案する。
が、竜彦はそれもすぐさま退けた。
「残念ですが、それも無理です。このペンションにはリヤカーの様な物はないし、車もあの朝タイヤがズタズタにやられて使い物にならなかったでしょう?」
「……そうねぇ…」
「では、やはり彼にはアリバイが……」
いつになく低く、野太い声で楠伊が言う。
そこには殺意に似たようなものも感じられたが、おそらく気のせいだろうと竜彦は判断した。
「そう、まさに完璧なアリバイなわけです。しかし、あるトリックを使えばこの犯行は可能だ」
「あるトリック……?」
竜彦はそのトリックについて考えれば考えるほど、それが普通の人間には思いもつかない物であるように思えてきた。
そう、普通でない人間……常軌を逸した人間にしか考えることの出来ないようなトリックなのだ。
その“常軌を逸した人間”が今、目の前にいる……。
竜彦の背中を少しばかり悪寒が走った。
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