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「えぇ。確かに、あの時史登さんの部屋にいた人物は邦和さんで、鐘楼で発見した血痕も邦和さんのでした」
「そんなバカな!! 致死量の血液を失って生きていられる人間なんかいるはずがない!!」
受け入れがたい事実に直面したように、楠伊は声を荒げた。
しかし竜彦はそれに動揺することもなく、落ち着きを保ちながら冷静に説明し出した。
「まったくその通り……。正確に言えば、俺達が鐘楼で見つけたあの血痕は確かに邦和さんのものだが、実は別の人物の血液も混じっていたんだ」
「別の人物……? …あっ」
「気がつきましたか、楠伊さん。その“別の人物”が誰なのか……」
不適な笑みを顔に刻み込んで竜彦は楠伊の目を覗き込んだ。
「なるほど……。史登くんの血液か!!」
「そう!! あの致死量にも匹敵する血痕のうち、おそらく半分くらいが史登さんの血液だったんです」
すると、どんどん先に進んでいく話の内容について行けなくなったのか、蓮がしどろもどろになりながら割って入る。
「ちょ、ちょっといい? 邦和さんと史登さんの血液が何て?」
まったく……。
理解してるのかしてないのか、はっきりさせろよな……。
そう心の中で愚痴をもらしながら、竜彦は面倒臭そうに頭をポリポリ掻いた。
「だから!! 邦和さんと史登さんは双子だろ!?」
素直にうなずく蓮。
「双子ってのは、血液の性質がまったく一緒なんだ。そうですよね、楠伊さん?」
楠伊はあんぐりと口を開けながら何度もうなずいた。
「あぁ……。一卵性双生児の場合、血液型からDNAまで、全て同一のものになるのは確かだ……」
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