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「7,7,」
涼子は最後のリールをもったいぶって回している。
「涼ちゃん,ボーナスだね」
と、隣のタカさんが羨ましそうに言った。
そして、涼子は最後のストップボタンを押した。
「7」
涼子はボーナスゲームで、コインを増やしていく。
しかし、タカさんは朝から一度もボーナスを引いていない。
すると、涼子は自分の台からコインをつかんで、タカさんのトレイに載せた。
「涼ちゃん……いつも悪いね」
「困ったときは、お互い様だよ」
と言うと、涼子は、コインの箱を抱えて席を立った。
それに気がついたタカさんの言った。
「両替かい?」
「うん」
「さすがだね……プロはそぅじゃなきゃいけないよな」
「だって、勝って帰れば負けないんだよ」
「おお、その言葉、メモっておきます」
と、タカさんは、手のひらに書く真似をして言った。
「ほどほどにしないと突っ込むだけだよ」
19歳の涼子は、毎日、このパチスロ店に通っている。
常連客の間では、アイドル的な存在だ。
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