367人が本棚に入れています
本棚に追加
「一平……早く……早く還ってきてよ……」
2007年福岡
私は病院に居た。
航空機の墜落事故から10日が経った。私はその事故の唯一の生存者としてマスコミを騒がせていた。
「彩華さん……お元気ですか?無事で何よりです……」
「あ、どうも一平さんのお祖母さん……わざわざお見舞いに来てくださったんですか?」
病室に入ってきたのは一平さんのお祖母さん。お見舞いの花束を花瓶にさしながら呟いた。
「一平はどうしてるだろうか……」
そしてため息をつく。私は胸を締め付けられるような感じがした。
「一平さんは大丈夫です。きっと無事ですよ」
私はそう言うしかなかった。まさかタイムスリップしたなんて言える筈がない。
「あの……」
お祖母さんが聞いてきた。
「彩華さん。あなた……私は昔……あなたによく似た人に会った事があるんです……」
最初のコメントを投稿しよう!