8月11日

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「一平……早く……早く還ってきてよ……」 2007年福岡 私は病院に居た。 航空機の墜落事故から10日が経った。私はその事故の唯一の生存者としてマスコミを騒がせていた。 「彩華さん……お元気ですか?無事で何よりです……」 「あ、どうも一平さんのお祖母さん……わざわざお見舞いに来てくださったんですか?」 病室に入ってきたのは一平さんのお祖母さん。お見舞いの花束を花瓶にさしながら呟いた。 「一平はどうしてるだろうか……」 そしてため息をつく。私は胸を締め付けられるような感じがした。 「一平さんは大丈夫です。きっと無事ですよ」 私はそう言うしかなかった。まさかタイムスリップしたなんて言える筈がない。 「あの……」 お祖母さんが聞いてきた。 「彩華さん。あなた……私は昔……あなたによく似た人に会った事があるんです……」
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