始まりは玉砕から

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「琴美…、アンタ何時から由紀乃に懐柔された?」  アタシはがっくりと肩を落として溜め息を吐いた。…と同時に元気を取り戻している自分に気付いた。 「由紀乃…。その、ありがと」 「お、その態度❗それこそツンデレの王道だっ」  ちょっと気恥ずかしいからってそっぽを向いたまま感謝の言葉を告げた私に対して、由紀乃は目を輝かせてテンションを上げている。 「うるさいわねぇ💦たまには感謝してやったんだから嬉しく思いなさいよ」  我ながら偉そうな口調ではあるけれど、これがアタシの性格なんだから仕方ない。それを分かって友達でいてくれてる二人には、直接言わない…、言えないけど感謝はしてる。 「そのツンデレな性格、有効利用しようとは思わないのかい?」  …相変わらずのキャラ口調で由紀乃が話題を一気に変えた。アタシは突然の事に目を丸くして固まってしまった。 「……は?」 「バイト、しない?三人で」  またしても琴美のフォローが入る。これはもう仕組まれたとしか思えない。 「バイトと私の性格、何も関係ないじゃない」  腕組みをしながら二人に背中を向けると、二人の気配が微かに動いた。…嫌な予感がする――…。
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