記憶に御座いません

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 窓の外をぼんやり眺めて1日の授業が終わった。終鈴が鳴ると同時に二人が駆け寄って来る。 「さあ、行こうかツンデレ娘よ」 「だからツンデレツンデレって…」  由紀乃に手を引かれて渋々立ち上がったアタシは、二人に連れられてバイト先へと移動するのだった。 「な…によ?ここ」  学校から移動する事、僅か5分。駅へと続く道筋から少し繁華街に入った場所に、あからさまに不似合いな喫茶店が建っていた。 「いや。バイト先」 「バイト先って…この趣味はどぅなのよ?」  雑居ビルや居酒屋等の店舗が建ち並ぶ中央に位置しているにも関わらず、ピンクと白を基調に纏めた店舗は、異光を放っていた。 「まあ入ろうよ。そろそろ準備しなくちゃだし」  アタシは琴美に背中を押されて仕方無く店内に足を踏み入れた。  それが全ての始まりだとは知らずに…。
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