記憶に御座いません

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「な…んなのよ、この服‼」  …これは、あれよあれよと言う間に制服と称する服に着替えさせられたアタシの第一声だった。 「流石にツインテールにメイド服は似合うねぇ」 「本当だぁ。可愛いね」  人のコトを頭の天辺から足の爪先まで凝視しながら、二人は訳の分からない品評を始めた。…勘弁して欲しい。  白のフリル付き詰め襟ブラウスに、やはりフリル付きのエプロンとハイウエストのスカート。色はピンクと水色と黒。本来なら好きな色を選べるらしいんだケド…。 「何でアタシがピンク?」   「キャラ的に」  …意味、分からないんだケド?キャラって何よ? 「由紀乃、園子、こっち来てだって」  他愛ないやり取りをしている中、一番冷静?な琴美がアタシ達を呼んだ。ミーティングが始まるらしい。スーツを着込んだ男性が、厨房らしきスペースのセンターに立っている。…きっと、あの人が店長ね。 「今日はオープニングレセプションですが、気を抜かない様に。常に御奉仕とツンデレの心を忘れずに接客して下さい」  …どんな心よ?アタシは心の中で突っ込みを入れた。
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