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「……本当、どうしたら良いんだよ…」
俺は俯き目を閉じた。叶う事ならこのまま存在ごと夜の闇に消えてしまいたい。そんな事を考えていると、
――ずっと、この時を待ってたんだ――
「……えっ?」
ふと、誰かの声が聞こえた。辺りを見渡してみたが、人影どころか野良猫一匹いる気配はない。
(空耳か…)
――全てが、手遅れになる前に――
「空耳じゃ…ない」
やはり辺りには人っ子一人いない。しかし、今のは確かに聞こえた。
「誰だよっ!俺に何かあるんだったら姿を現せよ!」
突然、俺の体が光に包まれた。イヤ、体だけでは無い、公園全体を謎の光が包み込んでいた。
「う、うわあぁぁぁっ!?」
光に視界を奪われ意識が遠退いていく。
――君たちなら、絶望を希望に変えられる。剣に選ばれし者と共に僕を…世界を救ってくれ――
その言葉を最後に俺の意識は闇へと落ちていった。
――“世界”(エルゴ)が選定し代行者よ――
光が消えるとそこに先ほどまでいたはずの少年の姿はなく。ただただ、電灯の光に照らされ閑散とした公園だけが残るばかりだった。
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