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「ところで、光流くんは?」
後ろ手を組んだ唯華が、一歩近づく。
「な、何が?」
「光流くんは私の事、認めてくれるの?」
俺は壁と唯華の間で戸惑った。唯華の体が俺に触れそうだ。
「わ、分かった!言うから、取りあえず離れてくれ!」
「……な~んだ」
唯華は少しガッカリして、俺から一歩離れた。ふぅ…。
「光流くんって、お姉さんがいるから、女の子に無関心だと思ってた」
「は?」
「だって女友達多いし、なのに誰とも付き合わないし……」
姉貴のせいでな。
「だから、今のお色気攻撃も、効かないかなって思った」
しれっと言った唯華は、もはや俺の知ってる唯華じゃなかった。
お色気攻撃って……。めちゃくちゃ効いてんですど。
「私の事、嫌いになった?」
「いや、むしろ逆。色々知りたくなった。それより…俺の事、嫌いになったか?」
「ぜ~んぜん!早くお姉さんに会いたいわ」
こうして、姉貴と唯華が顔を合わせる事になった。
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