2/2
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
欲しがるモノは全て指間、すり抜け何も残さないくらいなら良いのだけれど。僅かな欠片だけ指先に残すからこの爪が白く濁って、切り落とすのを躊躇うほどに。悲しいのは孵ってゆく蛹たち。湧き上がる負の感情が、心・脳・魂の奥底…歪な羽根を持った蝶々に進化してしまうのは、抗うことのできない冷たい嘲笑。捨てないで 捨てないで 捨てないで 声無き叫びは愚かすぎる現状を、この黒い青色の皮膚を切り裂くように、ただ激しさを増す。貴方は死なないと言って。私が首を絞め、その心臓を摘み取っても、永久に私を抱きしめて離さないと誓って。泣き顔が柔らかに歪む様を浮かべながらも、歓喜の声で私に愛を、滔々と説いていて欲しい。欠片ほどの希望と身を滅ぼすほどの、劣情を身に纏い踊り狂う姿、貴方は眼差し煌びやかに見つめていてくれた。繋がらないのは知っているはず、認めたくない幼い感情と言い訳を、繰り返しながら私は貴方の真後ろにいるから。 いらない いらない いらない いらない…
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!