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「ごめんなさい、ノックしなくて…びっくりした!?」
彼女は悪びれずにそう言った。笑った顔がとても可愛く見える。
キラキラした優しい空気が、僕を包んだ。
それが〝彩〟との出会いだった。
その後、夕食時にみんな集まり、彩には姉もいることがわかった。
「長女の麻希です。20歳!よろしくね。」
「次女の彩。真也さんの一コ下で高一です!!」
僕もそれに続いた。
「真也です。よろしくお願いします。」
簡単に挨拶をすませると、麻希さんがクスッと笑った。
「あんたたち同じ高校に通うんでしょ!?当分話題の的よねぇ─。」
彩がクスクス笑いながら答える。
「ねーっ!附属からきた子に突っ込まれるなぁ、きっと。あんたいつお兄さんできたの~?なんてね!」
「面白がることじゃないでしょ!いいから黙って食べなさい。」
奥さんは冷たく言った。あまり楽しくなさそうだ。やはり僕は完全に受け入れてもらえてないようだった。
麻希さんが「はぁーい。」と言ってそれからは誰も口を開かず、食器とナイフやフォークのぶつかりあうカチャカチャという音だけが響いていた。
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