臨場

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ノックをして中に入ると、部隊長である西岡警視が待ち構えていた。 「本日、東九州大学にて籠城事件が発生。我々は制圧部隊としてただ今より現場に急行する。臨場に当たっては、治安活動装備にて臨場のこと。よろしいか?人質救出の際の犯人射殺もやむなし。」 河野はとうとう来たと思った。銃器対策部隊に配属され早5年。ようやく実戦で大分県警銃器対策部隊の実力が分かる。そう思いながら、河野は西岡が言ったことを復唱した。すぐに踵を返すと部隊のいる警備部の部屋に急いだ。 「出動命令が出た。ただ今より臨場する」 息も絶え絶えに肩を上下に揺らしながら河田が言った。すぐに隊員たちは治安活動装備を着装し始めた。 黒いバラクラバつまり目だし帽を首に着け、黒い活動服の上からボディーアーマーを着けた。これは、首元までしっかりとガードされ流れ弾等により死傷しづらくなっている。2007年5月に愛知県警の特殊部隊員が射殺された事件は一度フェイスヘルメットに着弾の後弾道が下に流れて動脈切断したというわけだ。しかし指揮をしていたものがSAT隊長でなく捜査一課特殊班の課長が指揮をしていたのにも問題があると思うが…。 ボディーアーマーの上からタクティカルベストを着た。そして準備が完了したものから、銃器対策部隊が命を預ける武器を手に取った。それは一見銃には見えず、また独特の形からは管楽器を連想させる。
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