２月の雪

古い新居

私の次の家は、まるで、ジブリ映画に出てきそうな古い木造の一軒家。

屋根は青で、庭が広い。
玄関から入るとすぐに居間で、田舎の古い家そのまま。

しかも、掘ごたつ。

近所には家が３～４件。

見える距離にお店なんか無い。

あるのは、道路とレンタルスキー屋さんと、ゴルフ場の入口にある、大きな看板…。そして杉林に

山、山、山…

私達が新居について、まず最初にした事は、子猫の入った段ボールを抱えて、掘ごたつを５周回る事……。

「こうして、猫に新しい家に慣れさせるんだよ」

そう言って、お母さんは段ボールを畳の上に降ろした。

「猫は、人に慣れるんじゃなくて、家に慣れるんだよ」

これも、お母さんが言ってた言葉…。
引越しが終わってから、お母さんが段ボールを開けて、子猫をすくいあげた。
まだ小さな猫は、当たりを見渡すと、臭いを嗅ぎながら部屋中を歩いた。