疎まれた者の生涯

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別のある日 一人の女の人に会いました ずっとこちらをみてたかと思ったら こちらに向かって歩いてきた その人には口が二つありました 不安そうな顔をして とても綺麗な声で彼に尋ねた 「どうしてそんなに堂々と歩いていられるの?」 彼はこう 答えてあげた 「貴女こそ どうしてそんなに不安な顔をしているの? 悪い事なんて一つもしてないじゃない いつまでもオドオドしてないで歌を歌ったらどうだろう? せっかく 誰よりも 声が綺麗なのだから」 それを聞いた女の人は目をパチクリ そんな事言われたのは生まれて初めて 試しに大きな声で歌ってみよう 人の目はやっぱり気になるけど いつもより大きな声で歌うのは楽しいと気付いたから 彼女は笑顔で鼻歌まじりで歩くようになりました 去る瞬間彼の方を振り向いて彼女が言った事 「深く 深く 感謝します」
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