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私がそんな葛藤をしているなんて毛頭知らない笹川は、お母さんの声にハッとしたように口を開いた。
「あ、いえ、ただのクラスメートです」
「あら、そうなの?」
「はい」
残念そうに言うお母さんに、笑顔で返す笹川。
私の頭の中は戦争が終わって、冬が訪れました。
なんでしょう、頭の中が寒くて寒くて。
「あは、あはは」
「ちょっと陽菜?」
得意の妄想が途中で中断されて。
その原因はもちろん笹川の一言。
“ただのクラスメート”
……ただのって
……ただのって……
「うっ、うわぁぁあんっ」
笹川の一言に傷ついた私は、ぽかんとする笹川とお母さんを置いて自分の部屋へ走った。
酷いよ笹川!
あんなに優しくしてくれたのにーっ!!!!!
あの言葉は嘘だったの!!?
妄想と現実が混ざって、ぶっちゃけ笹川本人は身に覚えがないことを思いながら、私はベッドへ突っ伏した。
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