同居人-陽菜side-

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      □ ──コンコンッ 「……いません」 「いるじゃん…」 「っ」 私が部屋に走って約10分後、叩かれた部屋のドア。 声からして、叩いたのは笹川。 そんな無理! 今は笹川に合わす顔ないっ!! 「いません」 「松田?」 「いませんっ」 何回も押し問答を繰り返す。 5分くらい経っただろうか。 突然、笹川が黙り込んだ。 「………笹川?」 そして聞こえてくるため息と 「………チッ」 …………舌打ち。 舌打ち………? 普段の笹川からは考えられないことで、私は部屋の中でひとりぽかんとしてしまう。 …いや、きっと聞き間違い、うん。 自分にそう言い聞かせた瞬間、どこからかドスの効いた低い声が聞こえてきた。 「てめぇ、調子乗ってんじゃねえぞ。開けろ、つってんだ」 ・・・・・・ なんでしょう、これ。 きっと笹川じゃないんだ、きっと。 そう思った私は、ゆっくり立ち上がってドアの方へ向かった。 ドアの前に誰がいるのかを知るために。
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