松田家-猛side-

2/15
前へ
/100ページ
次へ
「今日から父さんワイハに行くんだ」 いつもとなんら変わりのない朝食中。 父に告げられたのは出張宣言。 つか、いい年してワイハとか言うなよ…… 出張はいつものことで、特に気にせず味噌汁に手を伸ばす。 「ふうん。いつ帰ってくんの」 「ざっと1年後」 「………は?」 サラッと告げられた日数に、俺は味噌汁をこぼしかけた。 いや、だって1年って365日だろ? まあ…… 「ひとりでもなんとかなる、かな」 家事できるし。 そう思った時、親父が厳しい顔で声を出した。 「何を言ってるんだ、猛!」 「はあ?」 「可愛いひとり息子をそんな1年間もひとりにできるか!大丈夫!お前は1年、友達に預けるから!」 「…………いや、意味わかんねえ」 なにが大丈夫なのかもわかんねえ。 つか、親父の友達って…俺知らねえし。 「俺に言わずに決めんなよ」 「だって言ったらお前嫌がるしー」 「当たり前だ」 思わずため息がでてしまう。 そんなんだから母さんに逃げられんだよ……
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6591人が本棚に入れています
本棚に追加