松田家-猛side-

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眉間にしわを寄せていると、突然立ち上がった親父。 「というわけで!ぐっばい、我が息子!!」 「は……」 「あ、これ地図。じゃ、飛行機間に合わなくなるから!」 俺に一枚の紙切れを握らせると、ドタドタと玄関へ走っていった。 “バイバーイ” と元気な声が聞こえたかと思うと、ガチャンッと玄関が閉まる音がした。 「……勝手すぎんだろ…」 握らされた紙切れを見ながら、俺は小さくため息をついた。 つか、あんな奴が社長で大丈夫なのか…… そう思いながら、最後のたくわんを口に入れた。       □ 学校につくと、いつものように元気で明るいキャラを演じる。 まあ、この方が色々楽なんだよな、先生受けもいいし。 ちなみに今の隣の席は…… 「笹川ー、教科書見せてっ!」 「忘れちゃったの?」 「う゛っ……」 「あはは、いいよ~。ほい」 明らかに俺のことを好きな、松田陽菜。 こういう奴とは仲良くしとくに限る。 その方が軽くパシれる…つか、使い勝手がいい。
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