松田家-猛side-

7/15
前へ
/100ページ
次へ
      □ とりあえず2階にあがり、松田の部屋を探………すまでもなかった。 向かって右側の部屋の扉にファンシーな猫の板がかかってて“ひなの部屋(はーと)”と書かれている。 つい呆れ顔になってしまい、少し口が半開きだ。 少し気を取り直し、はぁっと息を吐いてドアを叩いた。 ───トントンッ 「いません」 「…いるじゃん」 中から聞こえてきた声に、思わずため息とともに突っ込んでしまった。 その後、俺が何を言っても“いません”の一点張りの松田にいい加減腹が立ってきたわけで。 20回目くらいの“いません”が聞こえた時、俺の頭の中の糸が“プツッ”と音をたてて切れた。 「………チッ………てめぇ、調子乗ってんじゃねえぞ。開けろ、つってんだ」 舌打ちの後からはもう素だ。 俺はもともと短気だし、こんな強情な奴には猫かぶりじゃ通用するわけねえし。 イライラしながら言うと、扉の向こうの空気が凍りついたのがわかった。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6591人が本棚に入れています
本棚に追加