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きっかけは(*´Д`)●○●○
あの日、僕は悪さをしたのに罪悪感を持たなかった。
むしろ爽快感だったのかもしれない。
ほんのちょっとだけ悪戯のつもりで近所の家で飼っていた犬を解き放ってやったぐらいさ。
喜んで走って行った犬の姿が大好きだった。
犬が脱走したのに気付いた飼い主がびっくりしてる顔も。
それはちょうど16歳を迎えた夏の終わり。
蒸し暑さと雨の匂いがした日だった。
ポツンといつも心で思ってたことがあったんだ。
大切なものってどこにしまえばいいんだろう?
…ってね。
心の中にしまえばいいって人は言うけど…しまい方がわからないんだ。
もし、しまいきれなかったら?しまうところがなかったら?
…そうやっていつも人を困らす言葉ばかりを言っていた。
気持ちを理解してもらうのはとても難しくて自分ばかり理解されてないと思ってしまって…
他人を理解しようとしていないそんな自分に気付いてしまったんだ。
だからあの日、生きてるものの気持ちを理解しようと出た行動があれだった。
数日後、はしゃいで走って逃げて行った犬たちの8割は自分の飼い主のところへ戻って来た。
学校から家に帰ると犬達の姿があり「ちょっと傲慢だったかも」と部屋のベッドに寝転がりながら少しだけ反省した。
犬は首輪を外せば逃げるくせに少し走って遊び疲れたら気がついて家に帰ってくる。
人間は気ままに動物を飼って自分らの事情で可愛がっていた動物を捨てて行く。
傾いた天秤に納得がいかなかった。
ZZzz…
ピンポーン…
…ピンポーン …
ん!?誰かきた。
チャイムの連打に目が覚めた。ムクリと起きて階段を降りて玄関を開けた。
恭汰(キョウタ)「早く開けろよなぁ」
自分「鍵もってんなら自分であけろよ」
2番目の兄貴が大学から帰って来た。大学から…というよりも遊びからと言った方がいいかも。ひさしぶりに兄貴の顔見たが酒くせー。
恭汰「俺ゃ、何日も寝てねぇんだよ。かったるくてしゃーねぇや。寝るから起こすんじゃねぇぞ。」
そう言って恭汰はかったるそうな体で1階のリビングルームのソファに寝転がって爆睡しはじめた。
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