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手にしていた風船。
放せば飛んでいく事。
そんな事わかってた。
けれど、手にしていることが、
何も変わらない事が、
不安になってしまった。
『放しても飛んでいかない』
そう信じて、私は手放した。
『飛んでいっても戻ってくる』
そう願って私は手放した。
自分で決めた事なのに、
変わらない風船が悪いと。
自分で決めた事なのに、
私は手放したくなかったと。
手にしていた風船。
無くしてから後悔する事、
そんな事わかっていた。
けれど、傍に有る事に、
変わらずに有る事に、
退屈してしまった。
放した風船は戻らない。
そして、私は新しい風船を手にする。
今度は放してしまわぬように。
今度は退屈してしまわぬように。
大切に、しようと、思う。
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